台湾の最大野党、中国国民党の党主席選が25日、投開票され、元主席の朱立倫氏(60)の当選が濃厚となった。注目された親中派の台湾大の元教授、張亜中氏(66)は2位で及ばない見通しで、現職で再選を目指した江啓臣氏(49)は同日夜、朱氏に祝意を示した。
朱氏は党内で穏健派とされ、2024年の総統選を視野に入れて米国との関係改善も訴えてきた。だが、中国と一定の距離を置く姿勢が党内の親中派から反発を受けた。
今回の主席選では過激な親中派の張氏と激しい批判合戦を演じたため、党内に生じた親中派との亀裂を修復して挙党態勢を構築できるかが当面の課題となる。朱氏は選挙中、「両岸(中台)交流を積極的に促進する」とも訴えたが、中国の習近平政権が朱氏を対話の相手として認めるかどうかが注目される。
今回選は当初、朱氏と江氏の対決とみられていたが、泡沫候補とされた張氏が「私が当選すればすぐに北京に行き、共産党と平和協定締結の交渉を始める」などと過激な主張を展開。退役軍人などで構成する党員組織「黄復興党部」の大半の支持を受け、党内世論調査で支持率がトップになったこともあった。
だが、張氏の主張は中国への警戒感が強い台湾社会での支持は少ない。台湾メディアは、来年の統一地方選への影響を不安視した国民党籍の首長や地方議員らが張氏の当選阻止を図ったと伝えた。
朱氏は台湾大教授などを経て政界入りし、立法委員(国会議員に相当)、行政院副院長(副首相)、新北市長などを歴任。10年の新北市長選で、対立候補だった民進党主席の蔡英文氏を破って当選したが、16年の総統選で蔡氏に敗北した。
原文出處 產經新聞