アフガニスタンからの米軍撤収に乗じたイスラム原理主義勢力タリバンの復権を受け、中国の軍事的圧迫を受けている台湾では「米国は信用できない」「きょうのアフガンは明日の台湾」といった議論が浮上し、野党から、米国との関係を重視する蔡英文政権を批判する声も噴出している。蔡英文総統は「台湾はアフガンと違う」と反論している。
批判の急先鋒(せんぽう)は最大野党、中国国民党の党員で次期総統選出馬に意欲を示す著名司会者、趙少康氏だ。交渉を通じた中国との統一を主張する趙氏は16日、フェイスブックに「台湾はアフガンを教訓にすべきだ。米国に頼れば何も起きないという考えを捨てなければならない」と記した。同党に近い大手紙「聯合報」も「バイデン米大統領は軽々と盟友を見捨てる」とする社説を掲載した。
一方、中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報は17日の社説で「台湾の最良の選択肢は、米国に頼って中国大陸に対抗する路線を大幅に軌道修正することだ」と揺さぶりをかける。
こうした意見に対し、台湾の蘇貞昌・行政院長(首相に相当)は「アフガンが陥落したのは内政が乱れたことが理由で、内政が安定している台湾はいかなる侵攻にも対抗できる」と反論した。蔡氏も18日、与党、民主進歩党の会合で、「台湾の唯一の選択肢は、自らをより強くし、より団結することだ」と訴え「民主と自由の価値を堅持し、国際社会で台湾の存在意義を高めることが重要だ」と強調した。
原文出處 產經新聞