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自宅出産で男児死亡 コロナ感染の妊婦、なぜ入院できず


新型コロナウイルスに感染した妊婦が、入院先が見つからないまま、医師の見守りもなく、自宅で早産をしていた。男児は亡くなった。千葉県柏市で、何が起きていたのか。

同市の30代妊婦の感染が判明したのは11日。当初は軽症扱いだったが、14日夜に血中酸素飽和度が93%を下回り、中等症相当に。同市はコロナ患者としての入院先を15、16日に探したが、見つからなかった。

県が導入済みの「入院優先度判断スコア」では、この妊婦は、血中酸素飽和度90~93%で「5点」、妊娠に伴う高血圧で「2点」の計7点だった。5点以上が入院対象だが、当時、市内には5点以上の待機者が十数人いたといい、十分優先されなかったとみられる。

妊婦の場合、妊娠36週以降であれば「4点」の加点もつくが、この妊婦は妊娠29週であり、該当しなかった。この時は、市側も「妊娠週数的に出産間近という想定ができなかった」といい、早産などを想定せず、一般のコロナ患者として入院先を探していたという。

市は1日2回、この妊婦と連絡をとり、体の状態を確認していた。

出血しても入院先見つからず
状況が一変したのは、17日だ。同日朝、妊婦が腹部の張りを訴えたことをうけ、市は「コロナに感染した妊婦」としての入院先探しを始めた。同日午後には出血もあり、緊急性は高まった。

だが、結局、入院先は最後まで見つからなかった。

市によると、市のほか、県や妊婦のかかりつけ医、県の母体搬送コーディネーターも入院先を探したという。市によると、コロナに感染していることが壁だったという。

結局、妊婦は市やかかりつけ医も把握していない状況で、自宅で出産。その後、市に報告し、市から出産を知らされたかかりつけ医が、乾いたタオルで保温するよう指示し、従っていたという。

女性が119番通報し、救急隊員がかけつけた時には男児の呼吸は止まっていたという。

原文出處 朝日新聞