台湾で最も権威ある音楽賞「金曲奨」の33回目の授賞式が2日、高雄市内で開かれ、華語(中国語)男性歌手部門の最優秀賞に中国のベテラン歌手、崔健氏が選ばれたことが話題になった。ダークホースだった。
1980年代に頭角を現した崔氏は、中国ロック音楽界のパイオニア的存在として知られる。自らが作詞、作曲した代表作の「一無所有」(何もない)は当時、若者の間で爆発的な人気を誇った。
89年に北京で起きた民主化運動で、天安門広場に集まった大学生らが「一無所有」を合唱し当局に抗議したことが共産党指導部の逆鱗(げきりん)に触れ、以降、崔氏は中国国内でのコンサート開催が長年、許されなかった。
2014年、国営中央テレビの旧正月特別番組への出演が一旦決まったが、当局による歌詞の検閲を拒否し、出演を辞退したことで再び注目された。60歳になった崔氏は最近も新曲を発表し音楽活動への意欲は衰えていない。ただ、台湾での影響力はそれほど高くないのが正直なところだ。
台湾では昨年11月、権威ある映画賞「金馬奨」の最優秀ドキュメンタリー賞を、香港の反政府デモを描いた香港映画「時代革命」が受賞している。審査員たちは賞を通じ、表現の自由を求めて中国と闘う芸術家たちを応援しているのかもしれない。
原文出處 產經新聞