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核による威嚇、プーチン氏の意図は何か 「戦略核」を持ち出す奇妙さ


ロシア軍がプーチン大統領の指示を受け、戦略核の運用部隊が「特別態勢」に入ったと発表した。ウクライナへの軍事侵攻に加え、核による威嚇で欧米の動きを牽制(けんせい)するのが狙いだとしても、双方が意図しない核による衝突を招きかねない危険な言動で、越えてはならない一線を越えた。今後の核軍縮交渉や米国の核戦略にも影響を与えそうだ。

岸田文雄首相は1日未明の欧州連合(EU)首脳らとの電話会談で、「唯一の戦争被爆国、被爆地・広島出身の首相として、核による威嚇も使用もあってはならない」と強い調子でロシアを批判した。

核使用をちらつかせた核大国による威嚇は、キューバ危機が有名だ。それ以前も、フルシチョフ・ソ連第1書記が米大使に「西側は我々の(核)ミサイルが欧州全体を破壊できることを忘れているようだ」と語ったことがある。

軍事力を使って相手国を威圧したり、恐怖心を与えたりして自らの要求を受け入れさせることを「強制外交」という。相手に挑発的な行動を思いとどまらせる「抑止」とは異なり、強制外交は、相手が要求を拒んだ場合に力による実力行使へと発展する恐れがより高まる。「核」による強制外交のリスクは一層深刻だ。

プーチン氏の意図は何か。米国などの軍事介入を防ぐことに加え、対ロ経済制裁を弱めるのが狙い、との見方が大勢だ。

なぜ「戦略核」強調?米本土への攻撃は想定しにくいが…
ただ、軍事侵攻に突き進んだプーチン氏がとれる選択肢は狭まり、切り札がなくなりつつあるのも事実。冷静な判断力を失えば、どういう暴挙に出るか予測できないという怖さもある。

原文出處 朝日新聞