台湾の蘇貞昌(そ・ていしょう)行政院長(首相に相当)、游錫堃(ゆう・しゃくこん)立法院長(国会議長)と呉釗燮(ご・しょうしょう)外交部長(外相)の3人が今月、中国当局によって「頑迷な『台湾独立』分子」として制裁対象に指定されたことが台湾で大きな波紋を広げている。台湾独立志向の与党、民主進歩党の支持者らの間で「制裁リストに私も入れてくれ」といった声が相次ぎ「頑迷な台湾独立分子」はインターネットで一時流行語になった。
中国当局は蘇氏ら3人を「台湾独立分子」として制裁リストに入れ、生涯にわたって刑事責任を追及すると表明。本人や家族による中国本土や香港、マカオの訪問を禁止したほか、3人の関わる組織が本土の組織や個人と協力することなども禁じた。
制裁リストに入っていないことを不満とする台湾の駐ドイツ代表(大使)の謝志偉氏はフェイスブックに「中国政府に厳重抗議する」と書き込んだ。台湾の民主化運動を支持する学者から外交官に転じた謝氏は「私は長年、台湾の主権を守るために戦ってきた。チベット、香港、新疆などの民主化運動も支持してきた。それでも資格がないのか」とし、「リストの最後の方でいいから入れてください。名前がないと皆に笑われてしまう」と中国当局に「懇願」した。
作家の苦苓(くれい)氏もフェイスブックで「私は頑迷な台湾独立分子として中国政府に自首します」と宣言し、「どうか私の刑事責任を生涯追及してください」「(リストに入るのは)大変光栄なことだ」と記した。
対中政策を主管する大陸委員会の主任委員(閣僚)で、中国に報復措置をとる可能性を示唆した邱太三氏は、記者から「あなたも頑迷な台湾独立分子か」と問われ、「台湾の主権を守りたいという私の立場には揺るぎがなく、そうかもしれない」と応じた。
「頑迷な台湾独立分子」とプリントしたTシャツまで登場した。購入した台北市の大学生は「皆で着て写真をSNS(交流サイト)に出したい。中国の圧力に屈しない姿勢を外国の皆さんに知ってほしい」と話している。
原文出處 產經新聞