バイデン政権の大型歳出法案に関連して与党・米民主党が、電気自動車(EV)の販売支援でトランプ前大統領顔負けの自国優遇案を打ち出し、日韓などの自動車大手が共同で反対する事態を招いた。脱炭素に向けたEVの普及推進策を排他的な国内産業振興に利用する動きは中国でみられたが、米国の今回の動きは国際的に自国優先の政策を助長しかねず、市場の競争をゆがめる恐れもある。
EV販売の支援策は米下院民主党が提案したもので、支払うべき税金から差し引く税額控除額の上限を一台当たり現行の7500ドル(約82万円)から最大1万2500ドルまで引き上げる。事実上の割引となる税額控除による負担軽減は、消費喚起の常套(じょうとう)手段の一つだが、問題はその中身だ。
控除額の上積みは、労働組合を持つ米国内の工場で組み立てられた場合に4500ドル。さらに、組み立てる車両の構成部品の50%以上と車載電池が米国生産の場合に500ドルとの条件付き。雇用創出につながる米国生産を優遇する政策はトランプ政権の米国第一主義の典型だったが、労組まで条件に持ち出したのはそれに輪をかけた露骨な自国優遇だ。
原文出處 產經新聞