立憲民主党は21日、安倍前政権の経済政策「アベノミクス」について、「格差や貧困の問題の改善にはつながらなかった」として失敗とする検証結果をまとめた。次期衆院選では、コロナ禍で落ち込んだ消費を回復するため、消費税の減税を打ち出した。与野党ともに財政再建は後回しにする姿勢が目立っている。
立憲は先週、アベノミクスの検証委員会(委員長=江田憲司代表代行)を立ち上げて、2回に分けて有権者からヒアリングを実施した。結果、アベノミクスのもと、実質賃金が低下して「貯蓄ゼロ世帯」が増えた一方、所得1億円以上の人数は約2倍に増えたと指摘。潜在成長率は0%近くに低下し、原発輸出やカジノ誘致などの成長戦略も「ことごとく失敗」と結論づけた。
江田氏から検証結果を受け取った枝野幸男代表は「アベノミクスはお金持ちをさらに大金持ちに、強いものをさらに強くした。明らかに失敗だ」と記者団に語った。
その上で「抜本的に変えない限り、日本の経済の低迷を抜け出すことはできない」と述べ、国内の消費を増やすため、分配と安心を重視した経済政策へ転換する考えを示した。
今回の検証結果で強調されたのが、安倍政権下で2014年と19年に実施された消費増税の影響だ。
検証委は、実質賃金が下がるなか、「消費税増税が追い打ちをかけ、GDP(国内総生産)の半分以上を占める消費の低迷が続いている。日本経済が混迷から抜け出せない最大の要因」と指摘した。
8%に引き上げた14年の増税は、民主党政権時の民主、自民、公明3党合意に基づいて実施された。枝野氏はこの日、「あの時点の消費動向を踏まえれば、予定通り行うべきではなかった。(安倍政権が)経済の実態を見ずに強行した」と批判。「少なくとも時限的な消費税5%への減税が間違いなく必要だ」と語った。
原文出處 朝日新聞