災害の激甚化が進む中、警察、消防、自治体などが連携して救助活動ができるよう、政府が来年度中に各組織が共同利用できる専用の通信システムを実用化することが7日、分かった。
これまで各組織間の連絡は電話やメールなどで行っており、迅速な連携に課題があった。民間の携帯電話網を利用して既存のスマートフォンが使える仕組みとする方針で、情報伝達を大幅にスピードアップすることで人命救助の強化につなげる。
来年度中に実用化するのは「公共安全LTE」と呼ばれる通信システム。民間の携帯電話網を利用するため電波のカバー範囲が広い特性がある。災害現場の画像や映像も送信できるようになる。
災害時にネットワークがつながりにくくなる事態も想定し、有事には優先的に接続。既存の消防や警察などの無線は廃止せず、新システムを補完する形で併存させる。セキュリティーを高めるため、外部に情報が漏れないよう専用のデータセンターを設けることも検討する。
現在、防災訓練などで実証実験を重ねており、どの事業者の携帯電話網を利用するかも含め詳細は今後詰める。
警察など各組織で使われる無線は音声の送受信を念頭に整備されているため、画像や動画を送ることに適していなかった。公共安全LTEは米国、英国、韓国などでも取り組みが広がっている。
平成30年の西日本豪雨や令和元年の台風19号など災害の激甚化が進む中、警察、消防、自衛隊、自治体、医療機関などで正確に状況を把握することが迅速な捜索活動や人命救助の鍵を握るため、政府は公共安全LTEの導入で各組織間の連携を強化したい考えだ。
原文出處 產經新聞