台湾の国防部(国防省に相当)が今月1日付で、中国軍に関する年次報告書を立法院(国会)に提出した。昨年の報告書と比べて、中国軍による脅威を強調し危機感を募らせる内容となっているとして、台湾の関係者の間で物議を醸している。
今年の報告書は、中国軍の「電子戦」の実力を紹介する項目で「通信網を遮断し、わが方の防空能力、制海、反撃作戦システムをまひさせる初歩的な能力を備えている」との認識を示したほか、中国版の衛星利用測位システム(GPS)「北斗」を使った偵察能力に加えて、「偵察機や無人機(ドローン)、情報収集艦を定期的に展開させ、わが軍の動向を監視下に置いている」と分析。台湾を武力侵攻する場合、ヘリコプターで上空から兵力を投入する能力などを向上させていることなどを指摘し、警戒感を示した。
国防部が昨年提出した報告書では、中国軍について「台湾に全面侵攻する正規作戦能力はまだない」としており、その評価は引き継いでいるものの、「わずか1年で中国軍の戦力が大幅に上昇する理由がわからない」と今年の報告書に対し専門家などから疑問視する声が寄せられている。
原文出處 產經新聞