名古屋市の河村たかし市長は1日、27日投開票の衆院選に愛知1区から出馬する意向を明らかにした。記者団に「総理を狙う男、アゲインという感じだ」と独特の表現で出馬宣言をした河村氏。過去を振り返ると、金メダルをかじるなど特異なパフォーマンスが目立つ一方、歴史認識では、いわゆる「南京事件」を巡って「30万人の大虐殺」という中国政府の主張に異論を唱え、内外に大きな反響を呼び起こしたこともある。
中国・南京市委幹部に直言
日中戦争時の1937(昭和12)年、旧日本軍による南京占領で起きたとされる「南京事件」を巡り、河村氏は平成24年2月、名古屋市に表敬に訪れた中国共産党の南京市委員会幹部に対し、「一般的な戦闘行為はあったとしても、いわゆる南京事件はなかったのではないか」と話した。中国側は激しく反発したが、河村氏は翌月の名古屋市議会で「30万人に及ぶ市民を大虐殺したという南京事件はなかった」と説明。正しく歴史を認識したいとも訴えていた。
今年6月には、市が条例で定めた「なごや平和の日」の意義を問われ、「祖国のために命を捨てるのは高度な道徳的行為だ」とも発言した。市民団体や自民党市議団などから批判が出たが、河村氏は発言を撤回しなかった。その後の記者会見では「なぜ国のために命を捨てないといけないのかを議論することが必要」などと述べた。
一方、平成21年の名古屋市長選に挑む際は、市長給与を現行の年約2700万円から800万円に引き下げることを公約に掲げた。当選後は、公約通りの給与案を市特別職報酬等審議会を諮問。年収800万円は市の係長級と同等になるが、「800万円で十分に暮らしていけるし、社会保障(の不安)は市民も同じ」と述べ、退職金を全額辞退する方針も掲げた。河村氏は現在4期目となるが、市長給与800万円とする条例は継続して市議会で可決されている。
金メダルガブリで批判も
ただ、河村氏の言動が物議を醸したことも多い。名古屋城天守の木造復元をテーマにした市民討論会でエレベーターの設置を求めた障害者の男性に「我慢せえ」などの発言があったが、河村氏は討論会後、記者団に「(その発言は)よう聞こえなかった」と説明。発言を河村氏が制止できなかったことが問題となり、その後に設立された市の検証委員会は、河村氏に対し「人権感覚の希薄さが差別事案の背景・遠因にあった」と指摘した。
令和3年8月には、市役所に表敬訪問に来た東京五輪ソフトボールの後藤希友選手の金メダルを自らの首にかけると、いきなり「ガブリ」とかじり始めた。後藤選手に「恋愛禁止かね?」「ええ旦那もらって」などと、セクハラを疑われる発言をし、市民から批判が殺到。その後に謝罪し、3カ月間の給料計150万円を全額返上する条例案を出したが否決された。
原文出處 產經新聞