国や都道府県が休眠化を理由に裁判所に請求した宗教法人の解散命令が、令和3年までの10年間で年平均8件にとどまることが19日、分かった。平成7年に発覚した一連のオウム真理教事件直後には年100件近くに達したが、近年は低水準の傾向が続く。犯罪に悪用される恐れのある休眠法人は、解散命令の要件に該当するだけで全国で3千超あり、大半が解散されないまま放置されている実態が改めて浮かび上がる。
宗教法人の解散は、所轄庁の国または都道府県が宗教法人法43条などに基づき認証する仕組み。所轄庁は代表者の死亡などで活動を停止した法人側に再開意思を確認し、①吸収合併②任意解散③所轄庁などが裁判所に解散命令を請求-のいずれかで手続きを進める。
解散命令請求は、1年以上宗教活動をしていないなど、休眠の要件を満たした「不活動宗教法人」が主な対象となる。令和3年12月時点で全国に3348法人あるが、実際に解散命令を請求されたのは直近の3年で6件、同年までの10年間でも計77件に過ぎない。
法令違反が理由でも請求できるが、過去には地下鉄サリン事件を起こしたオウム真理教(平成7年、東京都など請求)と、霊視商法詐欺事件に関わった明覚寺(11年、文化庁請求)の2例しかない。解散命令請求はオウム事件を機に積極化し、平成9年には91件まで増加したが、近年は所轄庁側の人手不足などから、法人の意思確認に手間取るなどして減少している。
一方、合併と任意解散を含む解散全体の件数は令和3年、過去最多の616件に増え、特に合併は前年比2・4倍の493件。天理教など一部団体が不活動化の懸念がある傘下法人の合併を積極的に進めたことが大きく影響した。
原文出處 產經新聞