第26回参院選は10日、投開票が行われた。自民党は選挙区選、比例選とも着実に議席を伸ばし、単独で改選定数124の過半数である63を確保した。岸田首相(党総裁)は国民の信任を得たとして、ロシアのウクライナ侵略や円安に伴う物価高騰に対応するとともに、日本を取り巻く安全保障環境の悪化を踏まえ、防衛費の増額などに取り組む考えだ。立憲民主党は改選議席を大きく下回った。
参院は3年ごとに半数ずつ改選し、定数は今回から3増えて248となった。自民、公明両党は非改選で70議席を持つため、首相が勝敗ラインに設定した「与党で参院の過半数(125)」を大きく上回った。昨年の衆院選に続き、国政選2連勝となる。
首相は10日夜、党本部で「与党にありがたい票が示されたが、選挙期間中、厳しい声も聞いてきた。大きな責任を感じて政治を進めていきたい」と語った。安倍晋三・元首相が銃撃を受けて死亡した事件に触れ、「暴力によって民主主義の基盤である選挙のありようが問われた。選挙を完結できたことは大きな意味がある」とも述べた。
自民党は、勝敗を左右する全国32の「1人区」(改選定数1)で28勝4敗と圧勝した。単独で改選過半数を獲得したのは2013年の参院選以来。公明党は候補者を擁立した7選挙区で全勝した。
与党と憲法改正に前向きな日本維新の会、国民民主党などを含む勢力で、国会発議に必要な定数の3分の2(166)の議席も上回った。衆院では自民、公明、維新、国民で3分の2の議席を確保している。
野党は16年と19年の参院選では全1人区で候補者を一本化したが、今回は11選挙区にとどまった。立民は昨年の衆院選で協力した共産党と距離を置く路線に転じたが、党勢は回復できなかった。立民の泉代表は10日夜の記者会見で、「政権を任せられると国民から認知される勢力になり得なかった。力不足は率直に受け止める」と語った。
昨年の衆院選で躍進した維新は、大阪選挙区で2議席を確保するなど、今回も議席を増やした。国民は改選議席を下回った。れいわ新選組は東京選挙区で山本代表が議席を確保し、比例選でも議席を獲得。社民党、NHK党、諸派の参政党が比例選で議席を得た。
選挙戦では、物価高騰対策や新型コロナウイルス禍からの経済再生、防衛力のあり方をはじめとする外交・安全保障政策が主な争点となった。自民は、物価高に対応する緊急経済対策やワクチン接種の実績を強調。防衛費の増額、自衛目的でミサイル発射基地などを破壊する「反撃能力」の必要性を主張した。
今回は、改選定数124と、神奈川選挙区(改選定数4)の非改選の欠員1を補う「合併選挙」を合わせた125議席が争われた。神奈川選挙区で5位となった立民の水野素子氏の任期は3年となる。
原文出處 讀賣新聞