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「これがダイオウイカか」見せた生への執念 GWに一般公開 福井


世界最大級の無脊椎(せきつい)動物とされるダイオウイカが20日、福井県小浜市宇久の海岸に生きたまま漂着した。ダイオウイカは深海に生息し、生きた状態での漂着は珍しい。だが、衰弱しており、その後死んだ。引き上げられた後、越前松島水族館(同県坂井市)に運ばれ、同館が大型連休ごろの一般公開を予定している。

「これがダイオウイカか」。発見されたのは午前10時ごろ。市役所から連絡を受けた記者はすぐに車を走らせ、午後2時ごろ、現場に到着した。海岸を探すと、ダイオウイカが波打ち際から数メートルのところに力なく浮かんでいた。

漂着していたダイオウイカは全長3・35メートルのオスで、重量は推定60~70キロ。ダイオウイカを収容した越前松島水族館の職員によると、最も長い触腕と呼ばれる2本の腕がちぎれており、その腕がついた状態なら4メートルを超えていたとみられる。しかし、体長10メートルを超えることもある大型動物とのイメージがあり、近くの住民は「思ったほど大きくないですね」と話していた。

当初は死んでいると思われたが、間近で写真や動画を撮っていると生殖器がまだ動いていた。精子の詰まった精莢(せいきょう)と呼ばれるものを放出しており、最後まで遺伝子を残そうとする生物の本能を感じた。アンモニア臭が強く、味はよくないとの評判を聞いていたが、よほど近くに鼻を近づけない限りはにおいは感じなかった。衰弱しており、その後、死んだ。

発見したのは近くの漁師、浜上和幸さん(45)。網の補修作業中に、数十メートル先に真っ赤な生き物がいるのに気づき、よく見ると腕を海面から持ち上げるなど、弱々しくではあるが動いていた。宇久には2019年にもダイオウイカが漂着しているが、その際はすでに腐敗した死体だった。「生きているのを見るのは初めてだったので、テンションが上がって漁師仲間を呼び集めた。みんな驚いて、写真を撮ってました」と海の男をも驚かせていた。