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故郷・福島産の野菜「すごい葛藤でした」 そして息子は農業を始めた


11年前、農業に思いを寄せながら、福島第一原発事故で福島県から兵庫県内に避難した家族がいる。当時9歳だった長男は一昨年、福島に戻り、太陽光発電と組み合わせた農業に取り組み始めた。今年は育てる品目や面積を増やし、本格化させる予定だ。希望を胸にふるさとで働く息子を、母は遠くから応援し続けている。(鈴木春香)

福島県二本松市で約6ヘクタールの土地に設置された太陽光パネル。昨年できたばかりの、農業と太陽光発電を同じ土地で行う「営農型発電」の現場だ。発電が始まった昨秋、塚田晴さん(20)はパネルの下で育てたエゴマとソバを初めて収穫した。

事業は原発事故で被害を受けた地元農家らが始めた。塚田さんは農業分野を担う会社に就職し、「農場長」を務めている。今年は春にブドウの植樹を本格化させ、小麦と大豆も植えて全体の面積を増やす予定だ。「とても楽しみ」。塚田さんの声は明るい。

福島には9歳まで住んでいた。家から少し歩けば畑や田んぼが広がる地域。母の影響で幼い頃から農業に親しんだ。近くの有機農家から野菜を買い、田植えや収穫祭も家族みんなで参加した。野菜はおいしく、農家の姿はかっこよかった。

生活は突然変わった。

原文出處 朝日新聞