ロシア軍によるウクライナ攻撃は、軍事侵攻11日目の6日も各地で続いた。
ウクライナ治安当局は、核物質を扱う同国北東部ハリコフの研究施設の敷地内にロケット弾が着弾したと発表した。ウクライナのゼレンスキー大統領は5日に、ロシア軍が欧州最大のザポリージャ原子力発電所に続いて「南ウクライナ原発」の占拠も試みているとの見方を示している。
ウクライナ治安当局は、研究施設に着弾したロケット弾はロシア軍が発射したものだとしている。被害の詳細は不明。施設には研究用の核燃料があり、「核施設と貯蔵庫の破壊は大規模な環境被害につながりうる」という。治安当局は犯罪事案として捜査を開始し、国際司法裁判所に提出するための証拠集めを継続するとした。
AP通信によると、ゼレンスキー氏は5日、オンラインで米上下院の300人以上の議員と会談。南ウクライナ原発に向けて、ロシア軍が進軍していると語ったという。ロシア軍はザポリージャ原発を攻撃し、火災を発生させたばかり。
ロシアは、電力供給の重要施設のさらなる掌握をめざしているとみられる。チェルノブイリ原発を掌握した際には、ロシアはウクライナによる放射性物質を含んだ「ダーティーボム(汚い爆弾)」の開発を阻止する狙いがあると主張していた。
ロシア国営のタス通信などのロシアメディアは6日、匿名の情報源に基づいて「ウクライナが数カ月のうちに核兵器を入手していたかもしれない」などとする「核開発疑惑」を相次いで報じた。
原発の使用済み核燃料からプルトニウムを取り出して爆弾をつくりあげる直前だったとの証言があったと主張している。ロイター通信は「情報源は証拠を示していない」と否定的に報じている。
原文出處 朝日新聞