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就寝は「4時、5時」 パナ過労自殺、子煩悩な夫の変わりゆく日常


電機大手パナソニックで働いていた男性(当時43)が2019年10月に自殺した。同社は過大な仕事内容・仕事量に加え、「持ち帰り残業」を含む長時間労働を是正できずにいた結果、男性がうつ病を発症したと認め、遺族に謝罪。再発防止に向けて取り組むことなどを約束した。

「夫は『周りから認められないといけない』と考える人。やらなければならない仕事に対して、人一倍頑張るタイプでした」。男性の妻は取材にそう話す。

夫の仕事が増えたと感じたのは2019年4月以降のことだった。製造部から技術部に異動し、係長から課長代理に昇格。20人ほどの部下を抱える立場になって仕事の内容が変わり、業務量も明らかに増えた。

「原則8時退社」では終わらない仕事量 妻「無言の圧力あったのでは」
パナソニックは17年以降、長時間労働を減らすためとして、原則、午後8時までに仕事を終えて退社するよう従業員に指示していた。男性も基本的には午後8時には退社していたが、職場だけでは仕事を終わらせることができず、業務用パソコンを自宅に持ち帰って仕事をしていたという。

男性が自宅で作業しながら、「時間が重なっている会議があり、どれに出たらいいかわからない」「どのメールから見ればいいかわからない」とぼやく姿を覚えている。

また妻は19年夏ごろから、男性が深夜に業務用のパソコンで作業する姿を目にした。入浴後に飲むビールは350ミリリットル缶1本から、500ミリリットル缶2~3本に増えた。妻が少し控えるように言うと、男性は「350では眠れない」と言ったという。

亡くなる直前の19年9月には、仕事の不満を家では口にすることがなかった男性が「やることが多すぎて仕事が終わらない」と漏らしていたという。妻が就寝時間を尋ねると「(午前)4時、5時」と答えたことがあった。それでも、朝は午前8時前に家を出て会社に向かったという。

原文出處 朝日新聞