中国政府は6日までに、台湾の行政院長(首相に相当)らに制裁措置をとると発表した。「台湾独立分子」と認定した台湾側の人物に対し、生涯にわたり刑事責任を追及すると強調。米欧が台湾接近を進めていることを受け、台湾の蔡英文政権への圧力を増している。
中国で対台湾政策を主管する国務院(政府)台湾事務弁公室の朱鳳蓮(しゅ・ほうれん)報道官は5日付の談話で、台湾の蘇貞昌(そ・ていしょう)行政院長、游錫堃(ゆう・しゃくこん)立法院長(国会議長)、呉釗燮(ご・しょうしょう)外交部長(外相)を「頑迷な『台湾独立』分子」としてリストに掲載し、制裁措置をとると表明した。
具体的には、本人と家族による中国本土、香港、マカオの訪問を禁止する。3人が関わる組織が本土の組織や個人と協力することや、支援者が本土で利益を得ることも禁じる。さらに「その他の必要な措置をとる」とさらなる措置をとることに含みをもたせているほか、制裁の根拠となるリストの詳細についても明らかにしていない。
朱氏は、制裁対象とした3人について「悪質な言行で『独立』を企て、外部勢力と結託して国家分裂を図っている」と非難した。
習近平政権は台湾に対する圧力を増すと同時に、台湾の国連専門機関などへの参加支持を呼び掛けているバイデン米政権への牽制(けんせい)も強めている。王毅(おう・き)国務委員兼外相は10月31日に訪問先のローマで、ブリンケン米国務長官と会談し、台湾問題は米中間で「最も敏感な問題」と主張。その上で「いったん処理を誤れば、中米関係に取り返しのつかない全面的な破壊をもたらすだろう」と警告した。
今月8日に開幕する中国共産党の重要会議である第19期中央委員会第6回総会(6中総会)を前に、台湾問題で譲歩しない姿勢を国内外に示している。
原文出處 產經新聞