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京王線車内で男が口論、逃げ惑う乗客「自分が刺されていたかも」


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31日夜に東京都調布市を走行中の京王線の特急電車の車内で、複数の乗客らがけがをした事件。車内では何が起きていたのか。刃物を持っていたとみられる男と同じ車両にいた男性が、目撃した様子を語った。

東京都八王子市の吉田涼さん(34)は容疑者と同じ車両に乗り合わせた。車内に煙が漂っているのに気づいて周囲を見渡すと、車両の中央あたりにたばこを持ったスーツ姿の男がいて、周囲の乗客と言い争いをしていた。たばこを持った手と反対側の手に、刃物を持っていたという。この時点では、車内に液体がまかれたり、火が放たれたりしている様子はなかったという。

口論の詳細は聞き取れなかったが、同じ車両にいた子連れの女性が「逃げましょう」と言って前の車両に向けて走り出したのをきっかけに、周囲の乗客も一斉に駆け出した。事情がよく理解できない乗客もいたが、押し合いながら前方に進んでいったという。

3両ほど進んだところで、電車が国領駅のホームに停車した。ただ、本来の停車位置とずれてドアが開かなかったため、乗客は窓から外に出ることに。状況を説明するような車内アナウンスはなかったといい、吉田さんは「周りには100人くらいがいて、状況がわからず泣いたり、過呼吸になったりしている人もいた。正確なことはわからなかったが、とにかく早く脱出しようと必死だった」。

窓から外に出てホームで待っていると、他の乗客が「火が出ている」とか「刃物を振り回したらしい」などと言っているのが聞こえた。吉田さんは「男の狙いはわからないが、一歩間違えれば自分が刺されていたかもしれない。逃げ終わってから恐怖感がこみ上げてきた」と振り返った。

原文出處 朝日新聞