台湾の外交部(外務省に相当)は21日、呉釗燮(ご・しょうしょう)外交部長(外相)が国際会議に出席するため26日からスロバキアとチェコを訪問すると発表した。国家発展委員会の龔明鑫(きょう・めいきん)主任委員(閣僚)が団長を務める経済視察団も21日からスロバキア訪問を始めた。台湾の重要閣僚2人がほぼ同時に欧州を訪問するのは極めて異例。蔡英文政権は旧共産圏の東欧を中心とする欧州諸国に接近することで、中国の圧力で縮小している諸外国との外交関係の拡大を図りたい考えだ。
台湾の外交部によると、呉氏は26日、スロバキアの政策研究機関が主催するシンポジウムで講演した後、チェコに移動し、昨年訪台したビストルチル上院議長らと会談する。
チェコでは、親中派として知られるゼマン大統領が10日に病気で入院したのを受け、親台派のビストルチル氏の影響力が高まっている。台湾当局は、呉氏の訪問を通じて台湾とチェコの関係をさらに進展させることを期待している。
中国外務省の汪文斌(おう・ぶんひん)報道官は21日の定例記者会見で、呉氏を受け入れるスロバキアとチェコに「強烈な不満」を表明した。
一方、龔氏が率いる経済視察団は21~30日の日程でスロバキア、チェコ、リトアニアの3カ国を訪れる。視察団は経済、貿易担当の当局関係者や、半導体、金融、観光関連の企業家約50人で構成。28日にリトアニアで投資、貿易に関するフォーラムを開催予定だ。
現在、欧州で台湾と外交関係があるのはバチカンの1カ国のみ。蔡政権は、民主主義や自由といった欧州と共通の価値観をアピールして欧州諸国との関係強化を図る一方、リトアニアなど東欧を台湾企業の欧州進出の拠点にすることで国際社会における台湾の存在感の向上を目指している。
原文出處 產經新聞