フランスのアラン・リシャール元国防相が率いる仏上院議員団が6日、台湾に到着し、4泊5日の訪問を始めた。これに先立ち、オーストラリアのアボット元首相も5日に台湾入り。「台湾は中国の一部」と主張する中国は外国要人の台湾訪問に反対するが、台湾側は要人訪台で存在感を高めたい考えだ。
仏議員団はリシャール氏を団長に超党派の上院議員4人で構成。7日に蔡英文総統と会談し、8日に立法院(国会に相当)で立法委員(議員)らと交流する。蘇貞昌行政院長(首相)ら政権幹部とも面会の予定。
台湾メディアによると、リシャール氏は当初、今夏の訪台を計画していたが、3月には中国の在仏大使館から訪問を断念するよう圧力をかけられていたことが明らかになった。訪台が10月になったのは新型コロナウイルス禍などのためだ。
出発前の9月30日、中国外務省の華春瑩(か・しゅんえい)報道官は「仏議員と台湾とのいかなる公式接触にも私たちは反対する。中仏関係発展のために良好な環境を維持してほしい」と語り、仏側への報復も示唆した。一方、台湾の外交部(外務省)は5日、「中国が反対する中での仏議員団の訪台実現は、自由と民主主義の精神に対する彼らの確固たるコミットメントを示す」とのコメントを発表した。
欧米では最近、民主主義の価値を共有する台湾への注目が高まる一方で、中国の圧力外交への反発が強まっている。中国の妨害工作の効果も薄くなり、要人の訪台が相次いでいる。
昨年にはチェコの上院議長が中国の反対を押し切って台湾を訪問。今年はリトアニアやスロバキアなど4カ国が台湾に新型コロナのワクチンを提供するなど、台湾との関係を強化した。台湾の外交関係者は「仏議員団(の訪台)が成功すれば、他の欧州の要人訪台につながる」との期待感を語った。
一方、オーストラリアのアボット元首相も7日に蔡氏と会談後、台北で8日に開かれる国際会議「玉山フォーラム」に出席。インド太平洋地域の国際協力体制の構築などについて講演する予定だ。
原文出處 產經新聞