台湾メディアは4日に選出された新首相、岸田文雄氏について、台湾とのさまざまな縁に注目し、「親台派」「酒豪」などと好意的に取り上げている。新政権が台湾に友好的な政策をとることへの期待値は高い。
岸田氏が9月29日に自民党総裁に選出されると、台湾北部の基隆市中心部にあるイタリアンレストランが台湾メディアで一斉に大きく取り上げられた。岸田氏の曽祖父、幾太郎氏が120年余り前の1895年から99年にかけて、この場所で呉服店を経営していたことが理由だ。
欧州風の建物は現在もそのまま残っており、連日のように地元メディアの取材を受けた。記念撮影をするために他都市から電車を乗り継いで訪れる人も少なくない。近所に住む男性(70)は「この建物は日本統治時代のものだと聞いていたが、まさか日本の首相の先祖様の店とは知らなかった。岸田首相にぜひ来てほしい」と話していた。
岸田氏が若手議員時代、たびたび台湾を訪れ、李登輝元総統と交流していたことも紹介された。1997年ごろ、安倍晋三元首相らと訪台した際には歓迎の宴会で台湾の立法委員(国会議員に相当)から「乾杯」(酒を一気に飲み干す)の攻勢に遭った。岸田氏が日本側の代表としてこれを一手に引き受け、最後まで酔わなかったとの「酒豪伝説」が今も台湾の政界で語り継がれているという。
岸田氏が総裁選期間中、台湾の環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への加入申請について「歓迎したい」と発言したことも大きく紹介されている。新政権に経済安保相や人権担当の首相補佐官を設置したことについても「中国との対決姿勢を鮮明にした」と好意的に取り上げられている。
台湾の与党、民主進歩党の幹部は岸田氏について「台湾と深い縁があり、親しみを感じる人物だ。日台の新時代を築いてほしい」と話している。
原文出處 產經新聞