29日の自民党総裁選に勝利し、次期首相に内定した岸田文雄新総裁(64)は、さっそく新型コロナウイルスへの対応が求められることになる。30日で緊急事態宣言は全面解除となるが、「第6波」への懸念はぬぐえない。感染抑止とともに経済の立て直し、社会活動の本格的な再開に向けた指導力も問われる。
党総裁としては、30日にも決定する党役員人事が焦点となる。党実務を担う幹事長をはじめとする党四役らの人選を無難にこなせば安定した党運営が期待できる。「全員野球」(岸田氏)で挙党態勢を構築するため、混戦の総裁選を争った河野太郎ワクチン担当相や高市早苗前総務相らを処遇するのか否かも焦点となる。
間近に控えた衆院選の勝利も最重要課題となる。岸田氏は10月4日召集の臨時国会で第100代の首相に指名され、ただちに組閣に着手。所信表明演説と衆参両院での代表質問を経て、11月7日か14日投開票の日程で衆院選が行われる公算だ。
戦後、新しく就任した首相がこれだけの短期間で、政権選択選挙の衆院選に臨む例はない。衆院議員の任期満了(10月21日)を超えた選挙も初めてという異例ずくめの選挙で、さっそく国民の審判を受けることになる。
この間も一連のコロナ対策をはじめ、中国や北朝鮮が不穏な動きを続ける外交・安全保障の対応は一日もゆるがせにできない。岸田氏は選出直直後のあいさつで、新型コロナ対策や経済対策に加え、「自由で開かれたインド太平洋」の実現、少子化対策にも言及し「わが国の未来に関わる重大な課題が山積している」と訴えた。こうした長期的な課題にも迅速な取り組みが求められることになる。
原文出處 產經新聞