中国政府が20日から台湾産の2種類の果物の禁輸を発表したことを受け、台湾当局は21日までに「国際貿易のルールに反する措置だ」と抗議、9月末までに中国が話し合いに応じない場合は世界貿易機関(WTO)に提訴する考えを示した。提訴となれば、中台が2001、02年にWTOに加盟して以降、初の対決となる。
中国の税関総署は18日、台湾産のレンブとバンレイシから害虫が検出されたとして、20日から通関手続きを停止すると発表した。中国は3月、同じ理由で台湾産パイナップルの輸入を停止していた。
パイナップル、レンブ、バンレイシはいずれも台湾の対中輸出の上位を占める果物で、すべて禁輸になれば、台湾の農家は年間で約40億元(約160億円)の損失が出るとの試算が出ている。一連の禁輸は、中国と距離を置く蔡英文政権に対する政治的圧力の一環とみられている。
台湾の農業委員会(農林水産省に相当)の陳吉仲主任委員(閣僚)は21日までに「科学的根拠を示さない一方的な措置だ」と中国のやり方を批判した。
3月にパイナップルが禁輸となった際にも、与党、民主進歩党の一部関係者がWTOへの提訴を主張したが、蔡英文政権は中国との関係悪化を懸念し、話し合いを通じて問題解決を図ろうとした。
台湾の農業委員会はこれまでに計8回中国に対し双方の経済協力協定にのっとった問題解決手続きの開始を申し入れたが、中国から無視され続けたという。
原文出處 產經新聞