米軍がアフガン撤退直前に実施した空爆は、民間人10人の命を奪う誤爆だったと判明した。誤爆の経緯は、米軍の不正確な情報に基づいた攻撃の実態を物語る。繰り返される民間人の犠牲は反米感情を引き起こし、20年にわたる対テロ戦争の大きな教訓でもある。
「(通常の対テロ作戦では)ターゲットを見極める時間が十分にある。今回は差し迫った脅威を前に、そうした時間がなかった」
米中央軍のマッケンジー司令官は今回の誤爆をこう釈明した。誤爆が起きた8月29日は、米軍がカブールから完全撤退する直前だった。市中に地上部隊は残っておらず、米軍が頼ったのは無人機(ドローン)による情報収集で、ずさんなものだった。
中央軍によると空爆前、二つの情報を入手していたという。①過激派組織「イスラム国」(IS)支部組織が攻撃に使う拠点の位置②「白いトヨタカローラ」を次の攻撃に使用する――という2点だった。
米軍は6機の無人機を使って拠点周辺を警戒し、29日朝に白いカローラが現れたのを発見。追跡を始め、午後には複数の男性が車のトランクに何かを積み込む様子を確認した。米軍はこれを爆発物だと判断し、8時間の追跡の末、車が空港から3キロの地点に近づいて停車した時点で空爆した。
だが米軍が上空から得た情報による推測は、現実とは大きく異なっていた。
原文出處 朝日新聞