東京オリンピック(五輪)の柔道で、同じ日にきょうだいで金メダルを獲得した男子66キロ級の阿部一二三、女子52キロ級の詩(うた)の両親と長兄が25日夜、東京都内で取材に応じた。父浩二さん(51)は「コロナ禍でどうなるかわからなかった大会でしたが、皆さんのおかげで畳に立てた。最高の結果を僕らのもとに届けてもらえた」と喜びを語った。
3人は都内の自宅で2人の戦いを見守った。
浩二さんは2人について、「負けるような感じは見られなかった。顔つきとか試合運びとか集中力とか、画面を通して伝わってくる2人の気迫、わき出てくるオーラみたいなものを感じました」。
先に詩の金メダルが決まった。
母愛さん(49)は「喜んで、ホッとして。次に一二三の顔を見て、『大丈夫、ぜったいに一二三も金メダルを取れる』と思いました」。
そして一二三の金メダルが決まると、抱き合って喜んだ。長兄の勇一朗さん(25)は「2人同時に取ったことで、『1+1』が2じゃなくて、3以上の幸せになった」。
「僕らの方がありがとうっていう気持ち」
表彰式を終えた2人と都内のホテルで会った。
浩二さんが一二三に「いい試合だったな」と言うと、一二三は「強かったやろ」。浩二さんは「強かったよ、素晴らしかった、最高の出来やったな」と応じたという。詩には「我慢強くしっかりできていたね、よかったね」と伝えた。
一二三が父に、詩が母に、それぞれのメダルをかけた。愛さんは「重みがあって、これがオリンピックの金メダルなんだなって実感しました。抱きしめてくれたので、最高にうれしかったです」
互いに刺激しながら成長してきたきょうだい。浩二さんは2人の歩みを振り返り、「僕らは2人ががんばっているからそれをサポートしてきただけ。僕らの方がありがとうっていう気持ち。こんなにすごいことないと思う。ありがたいなと思っています」と話した。
原文出處 朝日新聞