新型コロナウイルスのワクチンを職場などで接種する「職域接種」が21日、本格的に始まった。一部の企業では前倒しで実施されていたが、21日からは大学での接種もスタート。各地のキャンパスには、学生たちが朝から次々と訪れた。接種を準備中の企業や大学も多く、働く世代や若者への接種が急速に拡大しつつある。
文部科学省によると、21日に接種を始めるのは国公私立の計17大学。週内に、さらに複数の大学が接種を開始する見込みという。
日本体育大世田谷キャンパス(東京都世田谷区)では同日朝から、学生ホールに設けられたブースで学生や教職員らが次々に接種を受けた。横浜市のキャンパスと合わせて対象は約8600人だが、同日時点で接種を希望しない学生が約870人いるという。希望者には6月中に1回目、7月に2回目を終える予定だ。
接種を終えたスポーツ文化学部1年の相原萌さん(18)は「普通の注射と変わらず、ほっとした」。入学後はオンライン授業が多く、退屈な思いをしてきた。所属しているフットサルサークルの活動も制限されていたが、「夏休みの合宿には安心して参加できそうです」と話した。
同キャンパスでは、近くの桜新町商店街の人たち約270人も接種を受ける。
飲食店で働く林英子さん(53)は接種後、「副反応が出るとしたらこれからなので、不安がないわけではない。でも、家族の中で私だけ接客する仕事をしているし、高血圧の持病もあるので打てて安心しました」と語った。同じ店で働く約30人のうち、5人ほどが同キャンパスで接種する予定という。
東北大(仙台市)も同日朝から、学生と教職員の計約2万1千人を対象にした接種を始めた。県や市と合同でJR仙台駅近くに設置している大規模接種会場に、学生専用のレーンを設け、歯学部の教員らが注射していった。
視察した大野英男総長は、取材に「対面でのキャンパスライフを取り戻す第一歩になると思う」と話した。今後、介護施設や保育所、幼稚園、小中高などで働く人々にも対象を広げる考えを示した。
原文出處 朝日新聞