コロナ下で東京オリンピック(五輪)・パラリンピックが開かれようとしている。競技会場に医療の責任者として派遣される医師は、開催を約1カ月後に控えたいま、この大会をどう見ているのか。気持ちをどう整理しているのか。
東京都品川区の昭和大学病院。体外式膜型人工肺(ECMO〈エクモ〉)が必要な重症患者を含め、新型コロナウイルス患者を1年以上受け入れ続けている。冬の「第3波」では心筋梗塞(こうそく)などの救急患者の受け入れや手術を制限しながら、コロナ患者の治療にあたってきた。
救命救急科の医師、八木正晴さん(50)がいるのは、救急医療の最前線。ゴーグルやガウン、マスク、帽子、手袋で身を固めて対応にあたる。発熱や意識混濁、肺炎症状などで運び込まれてくる患者たち。だれが新型コロナに感染していてもおかしくなく、張り詰めた日々が続く。
八木さんは今夏、そんな最前線から、五輪・パラのトライアスロンや10キロを泳ぐオープンウォータースイミングの舞台となるお台場海浜公園(港区)に医療責任者として派遣される。
「(大会を)やるなら、誰かが(医療を)やらなければならない。患者さんがいるのに、誰もいないわけにはいかない」
原文出處 朝日新聞