政府が4日に新型コロナウイルスの感染拡大でワクチン確保に苦しむ台湾に対し、国内供給用に調達した英製薬大手アストラゼネカのワクチン約124万回分を提供することが3日、分かった。
複数の政府・与党関係者が明らかにした。ワクチンを積んだ輸送機は4日、台湾に到着する。日本と台湾は大規模災害などの際に相互に助け合ってきたことを踏まえ、政府は緊急措置として支援を決めた。
関係者によると、今回のワクチン提供は台湾側から日本側に水面下で打診。政府はワクチン支援を「国内の災害時の支援への返礼」(関係者)と位置付け、提供量や時期などを台湾側と調整し、アストラゼネカ製ワクチン約124万回分を送ることを決めた。
平成23年の東日本大震災の際には台湾からの義援金が約200億円に上った。また、新型コロナの感染拡大に伴うマスク不足が深刻化した昨年4月には、台湾から医療用マスク200万枚が送られた。
政府はアストラゼネカ製について、年内に1億2千万回分(6千万人分)の供給契約を結んでいる。ただ、接種後にまれに血栓が生じる事例が海外で報告され、当面は公的接種の対象外としている。
政府は米製薬大手ファイザーのワクチンを年内に1億9400万回分(9700万人分)、米製薬会社モデルナ製を9月までに5千万回分(2500万人分)契約しており、アストラゼネカ製ワクチンを台湾に提供しても日本国民への接種に影響はない見通し。
台湾では感染が急拡大する中でワクチンの早期調達が課題となっている。蔡英文総統は先月26日、一部の海外製薬会社からのワクチン購入に関し、中国の介入で今も契約できていないことを明らかにした。
原文出處 產經新聞