政府は新型コロナウイルスの感染拡大で生活が苦しくなった世帯向けに、最大30万円の支援金を新たに配ることを決めた。だが、そのお金が届かない世帯も多い。
支給条件の一つに、政府が支援策と位置づける無利子の「特例貸し付け」を限度額まで借りていることが入ったためだ。お金を借りずにしのいできた困窮世帯はこぼれ落ち、自力で踏ん張ってきた努力が限界に達する家庭もある。
最大30万円 特例貸し付け利用者が対象
菅義偉首相が28日夜、緊急事態宣言の延長とともに打ち出した今回の支援金。7月から3カ月間、単身は月6万円、2人なら同8万円、3人以上は同10万円を配る。20万人程度が対象で、500億円をかける。
ただ、支援金を受け取れるのは、これまでの特例貸し付けを限度額まで借り入れた世帯が中心になる。
特例貸し付けは「緊急小口資金」と「総合支援資金」の二つがある。菅政権は上限額を最大で計200万円まで広げ、困窮する個人への支援策の柱に据えてきた。政府のねらいは、緊急事態宣言の再三の延長に追い込まれる中、借り入れ限度に達した世帯の生活を支えることにある。
困窮者と向き合ってきた関西地方の社会福祉協議会の職員は「お金を借りきってしまった人にとって、新たな救済策として意味がある」と話す。後がない人たちにとって、足もとの生活費になるためだ。
しかし、困窮する世帯がすべてもらえるわけではない。特例貸し付けを利用してこなかった場合、困窮していても今回の支援金はもらえない。
返せないお金、借りたくない
「いつまで生きられるかな。自助の限界が、そこまで来ています」。関東地方の40代女性は、自分が今回の支援金の対象外と知り、ため息を漏らす。生活費を補うために取り崩す貯金は、あと半年ももたない。
原文出處 朝日新聞