新型コロナウイルスのワクチン接種ペースが現在のままだと、来年4月までにあと4回の緊急事態宣言が必要になるとの試算を、群星沖縄臨床研修センターの徳田安春センター長(臨床疫学)らがまとめた。感染を収束させるため、接種ペースを現在の4倍に高めるべきだとしている。
試算をしたのは徳田さんと、神戸大の國谷紀良(としかず)准教授(数理生物学)。昨年1月14日から今年4月20日までの感染報告者数の推移などをもとに、1日に感染者数が全国で5千人を超えたときに緊急事態宣言を出し、1千人を下回ったら宣言を解除すると仮定。1日あたり約22万回接種されていた4月中旬ごろのペースを前提に、このペースがこのまま続いたときの今後の感染状況を数理モデルで計算した。
すると、変異ウイルスの影響も踏まえた場合は、接種ペースが変わらないままだと、7月ごろに感染者数が1日5千人を超えるなどして、来年4月までにあと4回、緊急事態宣言が必要になる結果となった。
接種ペースが2倍になっても、あと3回の宣言が必要な計算だった。4倍だと、やはり7月末ごろに宣言が必要となるものの、それ以降は大きな感染拡大は抑え込めるという結果になった。「1日100万回」が実現すれば、このペースを上回ると考えられる。
徳田さんは「ほかの対策によっても予測は違ってくるが、現状よりも大幅なペースアップが必要なことは変わらない。接種を進めるための環境の改善を急いでほしい」と話す。
原文出處 朝日新聞