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コロナ感染100歳女性が回復 「多くの患者の希望になれば」


新型コロナウイルスに感染して約1カ月間入院し、無事回復した大津市の100歳の女性が10日、同市内で会見した。一時は酸素吸入が必要となる中等症となったが、元々健康に自信があり「前を向いて生きようと思った」。会見場でもストレッチやスクワットを披露し「元気になった姿をみてもらい多くの患者の希望となればうれしい」と語った。

1920(大正9)年生まれの伊東綾子さん。1月に家族が発熱し、PCR検査の結果、ともに感染が確認された。同月11日、近江八幡市立総合医療センター(滋賀県近江八幡市)に入院した。「自覚症状もないし、まさかという気持ちだった」と振り返る。

同医療センターで100歳以上のコロナ患者の受け入れは初めて。会見に同席した主治医の山口琢医師(41)は「当時は感染第3波のまっただ中。伊東さんは私や看護師に積極的に声がけしてくれて、常に前向きに治療を受けていた」と話す。

入院当初はせきが出る軽症だった。しかし入院3日目ごろから発熱し、血中の酸素濃度が低下。酸素吸入が必要となる中等症と診断された。倦怠(けんたい)感や食欲の低下がみられたが、内服治療などで約2週間後には酸素吸入器を外せた。高齢での入院で重篤化へのリスクもあったが、伊東さんは「悪化への不安はなかった」という。

100年の人生の中で約1カ月に及ぶ長期入院は初めて。山口医師の治療に全幅の信頼を置き「毎朝会うのが楽しみで、毎日握手していた」。医療スタッフは防護服で顔がほとんど見えない状況だったが、伊東さんは、山口医師だけでなく担当外の看護師らの氏名をすべて覚え、趣味のスポーツ観戦の話や病室で詠んだ川柳を披露したという。

「貴重な体験だと思ってリハビリも頑張れた。感染しないことが第一だが、治療中は医師を信頼し、自分に打ち勝つことが大切」

趣味は旅行で、6月には101歳の誕生日を迎える。「パスポートは102歳まで期限がある。(コロナ禍が去ったら)世界のあちこちに行きたい。まだまだしたいことや行きたいところがある。これからも楽しく生きていきたい」と笑顔で誓った。

原文出處 京都新聞