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1日100万回接種、掲げたが 焦る首相、再三の電話


高齢者向けの新型コロナワクチンについて、菅義偉首相は「1日100万回接種」との目標を新たに掲げた。ただ、4月中旬のスタートからこれまでに終えた高齢者の接種は34万回余り。劇的にスピードを加速させ、首相が約束した7月末までに接種を終えることはできるのか。接種を担う自治体や医療の現場からは、戸惑いの声も上がる。

「本当にいまの取り組みで十分なのか、よくよく精緻(せいち)に検討してほしい」。公明党の国重徹氏は「1日100万回接種」について、10日の衆院予算委員会でこう語り、首相に「一日も早い供給の実現を」と求めた。首相は「ワクチンは感染対策の決め手だという意識だ」と応じたが、どのように目標を達成するのか、具体的には語らなかった。

「100万回」は、緊急事態宣言の延長が決まった7日、首相が記者会見で表明した。官邸幹部は「1日に想定される接種回数を積み上げて出てきた数字ではない」と言い、首相の強い意向で設けられた目標だとする。

「100万回」はどう積算され、その背景には何があるのか。

首相は、いまの緊急事態宣言を出すことを決めた4月23日の記者会見では「7月末を念頭に、各自治体が2回の接種を終えることができるよう政府をあげて取り組んでいく」と、自ら高齢者接種の期限を引いた。対象となる高齢者は約3600万人で、2回接種すれば約7200万回分が必要となる。首相周辺は「7月末に接種を終えるには、1日100万回打つ必要がある」と説明。期限を逆算して、「100万回」をはじき出したとする。

7日の会見で積算根拠を問われた首相は、「いわゆるインフルエンザの接種は(1日で)60万回ぐらいできている」と述べた。「接種が本格的になって慣れてくると、そういう(100万回接種という)ことも可能だ」とも語った。

原文出處 朝日新聞