東京オリンピック(五輪)・パラリンピック大会組織委員会の橋本聖子会長は7日の定例記者会見で、今月17日からの日程で調整中だった国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長の来日について、「正直申し上げて、非常に厳しいのではないか」と述べ、予定通りの来日は難しいとの認識を示した。
バッハ会長は大会延期前から、被爆地の広島市のリレーに合わせて来日すると公表していた。延期後も広島を訪れたいとの希望は変わらず、広島市を聖火が巡る17日と18日の2日間で来日する方向で調整が進んでいた。広島市の平和記念公園を訪れるほか、東京都内で菅義偉首相、東京都の小池百合子知事、橋本会長らと面会し、開幕まで2カ月あまりに迫った東京大会の新型コロナウイルス対策などを確認する予定だった。
だが、日本国内では変異株の広がりもあって新型コロナの感染が再拡大し、4月25日から東京都など4都府県を対象に緊急事態宣言が適用されて、7日には5月末までの延長が決まった。橋本会長はこの日の記者会見で「状況を直接見て頂くことは非常に重要だが、緊急事態宣言の期間中にお越し頂くのは、大変大きな負担をおかけするのではないか」と述べた。
大会関係者によると、IOCも東京大会をめぐる世論について敏感になっているという。緊急事態宣言が解除されない中での来日が批判を浴び、大会の開催実現に向けてさらなる逆風になることへの懸念があり、IOC幹部らが直接、日本側から情報を収集し、来日を見送る方向で検討を始めていた。バッハ会長は4月下旬、理事会後の記者会見で広島訪問について「まだ計画段階なので確証を持って言えない。調整が出来次第、発表する」と話すにとどめていた。
原文出處 朝日新聞