柴又・帝釈天そばの柴又街道が拡幅されることについて、映画「男はつらいよ」シリーズの山田洋次監督は「寅さんが『帰りたくねーや』という街にはしてほしくない。どうして古い街並みを守ることにもっとエネルギーを使わないのか」と批判する。山田さんに松竹本社でインタビューした。
――柴又街道が拡幅されるため、街道沿いの建物はセットバックして建て替える必要が出てきます。
とても驚いています。あそこにぼくはこの50年間、何百回通ったかわからないし、今も毎年10~20回は行きますが、渋滞にあったことは一度もない。もし、将来あの通りの交通量が右肩上がりに増加する、という明確なデータがあるとしたら別、ないなら、ここは我慢すべきではないか。あの道路が広くなって車がビュンビュン通れば、帝釈天につながる参道の昔ながらの景観がまったく変わってしまう。どう考えても、コロナ渦中で財政が苦しいときに多額の予算を投じて、あの道路を広くする理由がわからない。
東京・柴又の帝釈天、道路か景観か
「寅さん」でおなじみの東京・柴又で、景観維持に難題が突きつけられている。都道の拡幅により古い木造店舗の建て替えが進みそうだからだ。一帯は「風景の国宝」といわれる国の重要文化的景観に選定されている。文化庁は「街並みが維持されるのか」と気が気でない。
原文出處 朝日新聞