大阪府の新型コロナウイルス感染拡大を受け、吉村洋文知事が3度目の緊急事態宣言の要請を表明した。この事態をどうみるか、府の新型コロナ対策本部専門家会議の座長を務める大阪健康安全基盤研究所(大安研)の朝野(ともの)和典理事長に聞いた。
朝野さんは3月以降の感染拡大「第4波」の特徴に注目する。とくに3月15日~4月13日は若い世代の感染が目立ち、新規感染者の半数以上を30代以下が占めた。感染力が強いとされる変異株感染者でみると、30代以下が6割弱だ。
「海外に比べ感染者の少ないこれまでの日本の感染状況から、変異株の影響がここまで大きいとは思っていなかった」
感染拡大は、昨年恐れられていた「オーバーシュート」という爆発的な増加まではいかないが、すでに医療体制はめいっぱいで、無理をして新型コロナに対応している状態だと指摘する。新型コロナ以外の診療にしわ寄せが出ており、がんや心臓の手術が先延ばしにされる状況も一部にみられる。
「緊急事態宣言の目的は、より確実により強くより早く感染者数を減らし、新型コロナ医療のみでなく、通常医療を回復することだ」
ただ、宣言が出ても、実際に人の行動が変わらなければ感染は抑えられない。
「とくに若い人には、想像力をもってほしい。若い世代の多くは、感染しても重症化しないかもしれないが、感染が拡大する中で、その先に重症化しやすい高齢者がおり、死にいたる人が出てくることを理解してほしい」
新型コロナウイルスの変異株が相手でも、感染対策は日常生活の手洗い、マスク着用が基本だ。朝野さんは「この1年で飛沫(ひまつ)対策が重要なことがよくわかったので、どういう時に飛沫が出るか考えてください。マスクせずに話をするのはやめましょう」と訴える。
原文出處 朝日新聞