京都大学の研究チームが分析したところ、新型コロナウイルス感染症の患者を昨年9月までに受け入れた大学病院や総合病院は、収入が大きく落ち込んだことがわかった。チームの推計によれば患者が1人入院するごとに平均約520万円、集中治療室(ICU)などで治療した場合は平均約1200万円減少した。
新型コロナ患者を受け入れるほど、病院経営が苦しくなるとされる。ほかの病気の診療に職員や施設をあてにくくなり、収入が減るからだ。コロナ病床確保をためらう病院が少なくないといわれ、政府は入院を受け入れた医療機関に支払われる「診療報酬」の額を引き上げてきた。
京大チームは、全国約230の大学病院や総合病院から提供されたデータを分析。コロナ患者の受け入れ状況や、診療報酬による収入が前年の同じ月と比べてどうだったかを調べた。
対象病院の約7割がコロナ入院を受け入れていた。入院日数は13・6日ほど、ICUなどを利用した患者では15・4日ほどだった。診療報酬による収入は、最初の緊急事態宣言が出された期間中の5月をピークに前年より減少。コロナ患者が1日入院するごとに約38万円、ICUなどを利用した場合は1日約79万円、収入が減る計算になった。
昨年5月は、15歳未満の外来による診療報酬が前年の半分以下に減少。小児科を中心としたコロナ以外での「受診控え」が影響したとみられる。また、眼科や耳鼻咽喉(いんこう)科、整形外科などの緊急でない手術の件数が大きく減っていた。
原文出處 朝日新聞