香港政府が域内に18ある区議会の議員に中国への「忠誠」を求める条例改正案を発表したことに民主派が反発を強めている。中国共産党政権は2019年の区議会選で民主派が圧勝したことにいらだちを示しており、香港政府に圧力をかけたとみられている。親中派が大半の立法会(議会)で3月中にも、この改正案をスピード可決させる可能性も指摘され始めている。
香港政府が23日に示した改正案は、これまで行政長官と立法会議員らにのみ課せられていた就任宣誓を、区議会議員にまで拡大する内容が盛り込まれていた。
19年の区議会議員選(定数479)の結果、民選議席数452のうち約85%の388人までを民主派が占めた。現地報道によると、改正案では宣誓違反の内容も示され、「香港独立」への支持などに加え、香港政府の提出議案に無差別に反対し行政長官に辞職を迫ることも違反となる。民主派区議は宣誓すれば支持者から強い反発を受け、宣誓しなければ失職するという悩ましいジレンマに陥る。
区議の一人、袁浩倫氏は香港メディアに対し「私は(条例が改正されても)宣誓はしない。忠誠を誓うべき相手は、香港に暮らす人々だからだ」と述べた。
民主派を長年取材してきた香港紙記者は、「現段階の感触では、民主派区議の約半分、200人前後は宣誓を拒否するだろう。(条例違反となって)この全員が失職すれば、民主派には大打撃だ」と指摘した。
区議会で計27議席を持つ民主派政党、公民党の梁家傑主席は香港紙、明報の取材に対し「宣誓するかどうか党としての対応を検討中だ」と述べ、苦慮している様子をうかがわせた。党内には「議会に残って戦い続けるべきだ」との強硬意見もある。だが、宣誓した区議が反中デモなどに参加すれば「偽証罪」に問われる懸念がある。最高刑は禁錮7年で、リスクが大きい。
台湾に在住する香港の民主活動家は、「当局の狙いは、反中派をすべての議会から排除することだ」として、「国際社会はもっと香港の厳しい現実に関心をもつべきだ」と訴えた。
原文出處 產經新聞