台湾の国会議員にあたる立法委員に初当選し、2月に就任した。
手探りだった初の選挙戦に趣味のコスプレを採り入れた。「台湾をバリアーで守る」。集会の場やポスターで日本のアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」の戦う少女役に扮し、若者票をつかんだ。
異色の存在に映るが、実は政治との関わりは長い。
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2014年、中国に急接近した当時の国民党政権に反発した若者が、立法院に突入して23日間、議場を占拠した。その「ひまわり学生運動」の中心メンバーだった。
ソファで築いたバリケードに登り、最前線で警備員に抵抗する姿が注目された。その後、政治家の政策秘書となり、現政権の民進党から立候補。運動に参加した学生が立法委員になるのは初めてだ。
学生時代、軍隊で起きた兵士の暴行死事件の追及にも関わった。抗議活動で道路を塞いで、警察に拘束された経験もある。
当選後はさっそく、新型コロナウイルスの問題をめぐり、学生たちの遠隔授業の充実を審議で訴えた。「声を上げられない人のために働く」のが目標という。
幼いころから、「セーラームーン」のように勇敢に戦う少女に憧れてきた。今もコスプレを続け、写真を集めたフェイスブックに約2万件の「いいね」が集まる。
「王子の助けを待たず、王子のように、たくましく生きる女性になりたい」
(文・写真 西本秀)
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ライピンユイ(28歳)